はじめに
はじめまして。PMM(プロダクト・マーケティング・マネージャー)のえびすです。どのようにプロダクトをユーザーに届けるか、ビジネスとして成り立たせるかを考えつつ、プロダクト改善・進化のために必要なリサーチや情報収集、提案などを行なっております。
今回はEmotion Techで取り組んでいる「プロダクト改善のためのデータの可視化」についてご紹介いたします。
データの可視化はなぜ大切?
世界的にも有名な経営雑誌であるHarvard Business Reviewが、2012年10月号でデータサイエンティストを「21世紀で最もセクシーな職業」と記載したあたりから、データの可視化の大切さが広く世の中で言われるようになったように思います。
これまでは経験・勘・度胸で判断していた事柄を、データを基に冷静に自信を持って判断することができるようになったり、可視化したデータを社内やチームで共有することで共通の認識や理解を持って、課題や改善活動に取り組めるようになったり、意思決定の正確さやスピード向上にもつながってきた事例はたくさん報告されています。
・DX推進の一環として全社の経営データをTableauで可視化
https://www.tableau.com/ja-jp/solutions/customer/visualizing-company-wide-data-with-tableau-dx-promotion
・会員獲得や定着に関する大量のデータを見える化 Salesforceとの緊密な連携により、現場での迅速なアクションへ ~ IoT/健康ビッグデータの活用も視野に~
https://www.wingarc.com/product/usecase/149.html
プロダクト改善もデータを元にして進めるのは王道ですよね。
・メルカリのデータアナリストが解説! 事実に基づくプロダクト改善の進め方
https://news.mynavi.jp/itsearch/article/analysis/4505
一方、EmotionTechのプロダクト改善は、どちらかというと感覚的な判断に頼っているところがあり、改善の判断に必要となるデータを可視化できていない状態でした。「これは早急にデータの可視化を進めなければいかん。。。」と思いたち、取り組みを開始しました。
可視化するデータの種類について
データと言っても色んなデータがありますよね。よく耳にするのは「定性的なデータ」と「定量的なデータ」でしょう。それぞれのデータから分析できる情報は異なります。何をしたいのか?どのようなことを知りたいのか?に応じて、上手く使い分ける必要があります。
定性的なデータ
「定性的なデータ」は、端的にいうと「数値に表せない情報」と言えるでしょう。アンケートにある「ご意見・お気づきの点などありましたら記入してください」といった質問で取得するようなデータは定性的なデータにあたります。
定量的なデータ
「定量的なデータ」は、「数値で表せる情報」を指します。代表的なデータとしては「性別」や「年齢」、「売上」などがあたります。また、Webサイト等でビジター・ユーザーがどのようなページを見ているかといった「PV」「訪問者数」「クリック数」等も定量的なデータですね。
双方ともプロダクトの改善を進める上では重要なデータですが、今回は「定量的なデータ」に焦点を絞った取り組みをご紹介いたします。
可視化すべき「定量的なデータ」とは?
可視化すべき「定量的なデータ」は大別すると「データベースに登録されているデータ」と「Webサイトで取得できるデータ」に分けられます。
前者については、サービスを利用する上で自然と蓄積されていくデータであり、私が入社したころにはRe:dashと呼ばれるツールを使って、データを可視化する仕組みは出来上がっていました。一方、後者についてはGoogle Analyticsこそ入っているものの、どのようなデータを取得して可視化するかについては、手がつけられていない状況でした。
「Webサイトで取得できるデータ」を取得する意義とは?
「Webサイトで取得できるデータ」が見えてくると、ユーザーの動きの解像度がより鮮明になります。例えば、新しい機能をローンチした際に、しっかりと使われているのか?どこに困難を感じているのか?を「Webサイトで取得できるデータ」から把握することができます。
「ランキングを作成できる機能」を例にしてみましょう。
2. 「ランキング作成画面の表示回数はそれなりにあるが、作成ボタンがクリックされていない」場合は、「機能の使い方が分かりにくい、作成のためのデータを取得できていない」可能性があります。
3. 「作成画面の表示回数はそれなりにあり、作成ボタンもクリックされている」場合は、「期待通りに機能が利用されている」と考えることができます。
データベースに入っている「ランキングの作成数」のデータだけでは、「作成数が少ない・・・きっとあまり認知されていないから露出あげればいいだろう!」といった仮説に止まってしまい、上記のような複数の仮説を考え出すのは難しいかもしれません。
「ランキングを作成する」までに至る体験のどこでつまづいているのかを「Webサイトで取得できるデータ」から洗い出すことで、より精度が高い改善につなげることができます。
「Webサイトで取得できるデータ」を可視化する
データを可視化するためには、2つのステップに取り組む必要があります。
1つ目のステップは、データを取得する仕組みを入れること。
2つ目のステップは、取得したデータを可視化する仕組みを入れること。
それぞれEmotionTechでどういう風に取り組んでいったかを簡単に紹介します。
データを取得する仕組みを入れる ~タグマネージャ~
「Webサイトで取得できるデータ」を取得するためのツールは多々ありますが、簡単に導入でき、費用もかからない「タグマネージャ―」を使ってデータを取得する仕組みを作りました。
ちなみに、エンジニアの力を借りて、フロントエンドでデータを取得する仕組みを入れることも可能ですが、要素の追加や変更を行うとイベントの計測方法を変更しなければいけない所も生じてきます。
また、エンジニアには新機能開発業務や不具合の改修に専念していただきたい思いもありましたので、今回は私で設定等を完結させることができる「タグマネージャ」を使ってデータを取得する方法を採用しました。
図1. タグマネージャーの設定画面の一例
取得したデータを可視化する仕組みを入れる ~データスタジオ~
取得したデータの可視化には「データスタジオ」を利用しました。決め手となったのは、「オンライン上にノウハウがたくさんある」「誰でも気軽に使える」「共有がしやすい」点です。
データを取得する仕組みさえ入っていれば、こちらはそれほど大変な作業ではありません。むしろ、どういう風に見せるとわかりやすいかな?どんなまとまりで観れると今後に生かせそうかな?を考えながら、グラフやチャートを作っていく楽しい時間です。
また、データスタジオはGoogle製品はもちろん、AWSやスプレッドシートのデータの取り込みも行いやすく、大変重宝するツールですね。
図2. データスタジオの設定画面の一例
「Webサイトで取得できるデータ」を可視化することでみえてきたこと
データを可視化することで、無事お客様がどのような機能を使っているのか、どのようなページを閲覧しているのかを把握することができるようになりました。
また、よく使われているだろうと思っているページの閲覧数が意外に少なかったり、ボタンクリックの回数から意外な機能がよく使われていることがわかったりと、新たな気づきをもたらしてくれました。
今後、プロダクトのUI・UXを改善・進化させていく上で、参考にできるデータとして活躍してくれると期待しています。
今後の取り組み
今回可視化したデータは、全ユーザーの行動をまとめたデータです。プロダクトのUIやUX、機能の改善等を行うにはとても役に立つ情報源となります。
一方、SaaSにおいては「個別のお客様がどのような操作を行っているのか」を把握することも非常に大切です。どのような操作を行っているのか、どこに困難を感じているのかを「クライアント単位・ユーザー単位」で把握することで、チャーン防止につなげるアクションをとることができますよね。
そこで、データ可視化の次のステップとして、目下「Webサイト上の行動をデータに落とし込んで把握できる仕組み作り」に取組んでいるところです。まだ、構築途中ではありますが、戦略的パートナーシップを締結しているPLAID社の「KARTE」が大活躍してくれそうです。
こちらの取り組みについても、まとまったところで本テックブログを通じてお伝えできればと思います。
まだまだ発展途上です!
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