EmotionTechテックブログ

株式会社エモーションテックのProduct Teamのメンバーが、日々の取り組みや技術的なことを発信していくブログです。

「ユニコーン企業のひみつ」を読んで ~ 凡馬がユニコーンになるために ~

はじめに

こんにちは、エンジニアのかどたみです。 今回は書籍のレビュー記事です。 Twitterで訳者の島田浩二さん(@snoozer05)による以下のツイートを見つけ応募してみたところ、弊社をご選出いただき「ユニコーン企業のひみつ Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方」を献本頂いたのでレビューしていきたいと思います。 本当にありがとうございます。

約20年ぶりの読書感想文なのですが、頑張って書きましたので最後までご覧いただけると幸いです。

どんな本?

アジャイルサムライ」の著者でもあるJonathan Rasmusson氏が2014年から2017年の間にSpotifyで経験した働き方とそれを実現するための仕組みや文化、リーダーがフォーカスしていた内容を解説したものです。 従来の企業との比較に始まり、質の高いプロダクトをデリバリーする方法やチームの作り方、壁にぶつかったとき新たに導入された仕組み、読者に向けた実践への道標に至るまで記述されています。

全体的な感想

「スピード、速さ」、「自律」という言葉が多く登場していて、フォーカスすべきことを良い意味で刷り込まれる一冊でした。もちろん、ただ簡単に「自律せよ!」「スピードを求めよ!」と述べられているわけではなく、自律したチームを作る仕組みや文化に対する取り組みだったり、スピード・速さを求めるがゆえにどのような組織体制を作り、どこに投資していくのかなど実際にSpotifyが行ってきた組織づくりや働き方を追体験できるような素晴らしい本でした。 あとがきにも組織づくりの担当者へ向けた本であるとの記載がありますが、エンジニアに限らず、マネジメント層や経営者にこそ読んでいただきたい本であると感じました。 内容とは関係ない感想になるのですが、砕けたセリフ調の表現や挿絵が豊富で、楽しく一気読みできたのも良かったです。

特に心に残った部分

「ふつう」である危機感

まず、本文前の「日本の読者の皆さんへ」というたった2ページの前置きで「ふつう」である"あること"について述べられています。ここで書かれている「ふつう」はたしかに普通なのですが、なぜかそれをやっていることを採用時や企業紹介で誇らしげに語る企業は自分の観測範囲内で少ないながらも存在すると感じています。これが言語化されていることでその「ふつう」しかできていない者からすると、このままではだめなのかもしれない、そこから抜け出すにはどうしたらいいのか、と本書を読む期待感が湧き上がってきました。

プロジェクトマネージャーもスクラムマスターもいない

書籍の中でプロダクト開発のエンジンとなるチームに関する説明が存在します。そのチームの特徴や普通の開発チームとの違いが説明されているのですが、プロジェクトマネージャーもスクラムマスターも存在しないそうです。その代わりに重要視されている役職が2つ紹介されているのですが、いままでの印象とテック企業で求められている人物像に少し差異があったので学びになりました。

「みんながやっているのは金メッキ張りですよ」

これは本文途中のコラムのタイトルなのですが、弊社にはとても刺さるコラムでした。眼前のバグ修正や納期に囚われて、「動くもの」をつくるというのはまずい判断であるという記述で数年前の弊社の開発そのものだと思いました。まずい判断であったことを再認識できたことで、現在行っている取り組みへの自信にもなったので金メッキ張りと揶揄されようとしっかりしたプロダクト開発をやっていきたいですね。ここで紹介されているユニコーン企業のような改善ではありませんが、このブログでこのような働き方から脱却するための取り組み記事もありますのでよろしければ御覧ください。

このプロダクトを友人に勧めたいと思いますか?

まさか、毎日見ているこの文言が出てくるとは思いも寄りませんでした。テック企業が熱心に追っている指標としてNPS®が紹介されていました。弊社が提供しているEmotionTech CXはこのNPS®を追い、改善すべき項目を可視化してくれるクラウドサービスです。この書籍を読んでNPS®を追ってみたいと思った方は是非導入をご検討ください。 この本の推奨度はもちろん10です。

弊社がユニコーン企業として成長するには?

最後の章にどのように実践していけばよいのかということがまとめられていますが、その中でも、他所でやっていることをそのままコピーすることへの注意が記載されています。 それを踏まえた上で我々が取り入れられそうな部分、すでにある良い部分は何なのかを考察してみました。

まずは改善点から。 本文ではエンタープライズ企業を「巨大で、動きが鈍く、変化の遅い企業」、ユニコーン企業を「スタートアップみたいな働き方で、エンタープライズ企業のようなスケールを実現し、素早く、世の中に価値を提供できる企業」と定義づけています。 弊社は「スタートアップ」・「ベンチャー」と謳いながらも「エンタープライズ」企業っぽい部分も少なからずあるなと思い当たるフシがありました。

  • プロジェクト駆動でリリースがゴールになってしまった機能がある(イテレーションを回せていない機能がある)
  • リリース計画がボトムアップで決まらない・変更されない
  • 情報がクローズドである

これらの改善としてまず以下に取り組んでいきたいと思いました。

  • プロジェクト駆動からイテレーションを回しながら、改良し続ける開発に移行するため、リリース後放置されている機能のデータ・フィードバック収集する
  • リリース計画をマネージャー任せにせず、エンジニア一人ひとりが発案・発言できるチームにしていくこと
  • 開発部のデータ・情報を全社にオープンにすること
  • この本を経営陣にお勧めしてユニコーン企業を目指してもらうこと

この本を読んですぐのときは、ユニコーン企業のような高みを目指してみたくなったのですが、一人のエンジニアが動いて全社の仕組みを変えるのは難しいのでまずは開発部内でできそうなことから始めてみようと思います。

逆にすでにできていて、継続すべきだと思った点としては

  • 社内プロジェクトや感謝を伝える仕組みを通して良い文化が醸成されていること
  • 経営陣に説明責任を果たすことで信頼され、開発に関して権限が与えられていること

弊社にはSeven Let'sと呼ばれる行動指針があり、これらによって協調したり、多様性を認めるといったことが根付いています。さらに、新しく入社して頂いた方にも浸透させるため、社内プロジェクトが盛んに行われていたり、部門を通じて感謝を伝えるためのslackチャンネルがあったりします。これによって多角的な意見が飛び交ったり、業務上の心理的安全性につながっているので、この文化は継続させて行きたいですね。加えて、良くも悪くも経営陣にエンジニア出身者がいないため開発部は開発に関して責任を負う代わりに自由を与えられています。各ポイントごとに説明責任を果たしたり、経営陣が予期していないリスクやチャンスについて提言したりして信頼を得ることで、開発の方向性であったり、採用技術について制限されることはありません。これも是非責任を果たしていくという前提の元、継続できればと思っています。

現状でできることをまとめてみましたが、意識すれば変えられることだと思うので1つずつ取り組んでいきます。

さいごに

いかがでしたでしょうか? この記事の読者の方には実際にこの本を読んでいただきたかったためあまり具体的な内容に触れず、ふわっとした表現の記事にはなってしまいましたが、これは自分たちのチームでもできているなと自信につながった部分もありつつ、やはり足りていないと思える部分や、目から鱗な働き方などとても「気づき」のある一冊でした。 皆さんもぜひ読んでみてください。 気づきから実行に移していきレベルをあげ、我々もユニコーン企業と呼ばれるような成長を遂げていきたいと思います。

Emotion Techでは顧客体験、従業員体験の改善をサポートし、世の中の体験を変えるプロダクトを開発しています。プロダクトに興味のある方、我々が今後取り組むべき組織改善に興味がある方、未来のユニコーン企業で働きたい方がいらっしゃいましたら、ぜひ採用ページからご応募をお願いいたします。

hrmos.co

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