はじめに
こんにちは。テックリードのかどたみです。
開発チームの採用では、キーワードの1つに「少しでも職務経歴が豊かになるように」という言葉があります。これは弊社で活動するうえで候補者が成長できる環境を用意できるかという意味とともに、採用担当者自身もその候補者と働いて成長できるか、という意味も含まれています。
今回はこのキーワードについて紹介したいと思います。
この記事はエモーションテックアドベントカレンダー 2023の20日目の記事です。
豊かな職務経歴・豊かとは言えない職務経歴
さて、「職務経歴が豊かになるように」と言っても、豊かな職務経歴というものはどのようなものでしょうか?
- 流行りの言語で開発した経験があること
- 経験した技術の数が多いこと
- 作った機能の数が多いこと
- CTOやテックリードなど重要な役職についた経験があること
私が採用に携わる前に考えていたことはこのようなものです。あるに越したことはないですが、いくらいろんな言語や技術で仕事をしたことがあったとしても、いくらCTOやテックリード経験が長くても良い職務経歴とは言い難いです。
なぜでしょう?
それは、再現性があるのかどうかや、その経験が弊社で活かせるのか測ることができないからです。極端な話、言葉で表す機能名こそ同じであれ、同じようにプログラムを書けばどの会社でも価値が出せるとは限りませんよね。共同創業者でエンジニアであれば最初からCTOを名乗ることもできるかもしれませんが、その経験だけでどの会社でもビジネスにインパクトが出せるかはわかりません。
いくらCTOやテックリード経験が長くても良い職務経歴とは言い難い
これはテックリードを拝命している自分を律する解釈でもありますね。
では、我々が豊かだと思う職務経歴とはどのようなものでしょうか? 上記を裏返せばいいような気がしますが、言語化していきます。
- 業務するにあたって、主体的にチャレンジを行っている
- 自身で課題を発見し、解決したことがある
- 成功、もしくは失敗から「学び」、その「学び」を実践している
- 技術にとらわれず、組織へのインパクトを意識して行動したことがある
ほんの一部ですが、このようなことを意識しています。
すなわち、振られたタスクをこなせるだけではいくら速くても、技術力があっても我々は魅力的に感じませんし、受動的な働き方が染み付いている方の職務経歴を豊かにするお手伝いは難しいと思っています。弊社はスタートアップを謳っている以上、正解がないことにチャレンジしなければなりません。常に変化していく、より良い地点に向かって考え、進み続けられる仲間を求めていますし、入社後もその考えに磨きをかけていってほしいと思っています。
我々が豊かとは思えない職務経歴を重視する方はせっかく参画して頂いてもお互い不幸になってしまうことも考えられます。そのようなミスマッチを防ぐこともあり、このあたりをどの程度重視しているかは採用活動で注意している点でもあります。
自身の経歴を良くするために
さて、続いて
採用担当者自身もその候補者と働いて成長できるか
について考えます。
この判断軸は「自分のできない・しにくい良い経験をして共有してくれるかどうか」に尽きます。これは技術的なスキルに関してはあまり関係がありません。 この観点に関して技術的なスキルを加味してしまうとジュニアやインターン採用などが難しくなってしまいます。
ミドル以上のエンジニアであれば自分の経験したことのないスキルやドメイン領域での業務経験は魅力的に感じます。しかし、ただあるだけでそれらをチームに還元してくれなければ我々の成長に寄与してもらえませんよね。自分のスキルを上げることももちろん大事ですが、それだけに執着する人と一緒に働きたいと思うのはなかなか難しいです。
技術力やスキルだけではなくコミュニケーションの面でもこの判断軸は重要です。例えば高圧的な態度を取ってきたり、技術を目的として業務を行うメンバーがいると、顔色を伺ったり、チームの雰囲気を良くするための裏業務が増えます。これらの裏業務は明らかに本来経歴には不要なものです。なので良い経験の共有スキルだけではなく、悪い経験を他のメンバーにさせる危険性はないかという意味も含まれています。
また、経験豊富なエンジニアだけでなく、ジュニアやインターンにも周りのメンバーを成長させてほしいと思っています。 技術的な観点でもチャレンジはしてほしいと思いますが、凝り固まった思考回路を解きほぐすというだけで柔軟な姿勢を見せつけるということにも価値があります。
個人的な話になりますが、一人で使える時間や体力がなくなってきた私からすると、若者の無限のバイタリティから生まれるチャレンジとその報告には、良い意味で危機感を生んでくれると思っています。
優秀な他のメンバーや先輩を見ていると、自分に足りないスキルに目が行きがちですが、自分が勝手に定義した「技術力」がないことを引け目に感じず自ら課題にぶつかっていってほしいですね。
実際の取り組み
このキーワードはカジュアル面談などを受けていただく候補者の方にもお伝えしています。共感してくれる方が多く、選考に進んでいただける確率も伝える前よりも上がっています。
また、こちらの記事を参考にし、どのように経歴を豊かにしていけるのか・どのように仲間の経歴を豊かにしてほしいのか、をオファー時に候補者の方にミッションレターという形でお送りしています。
具体的な内容としては以下のようなものをまとめています。
- 入社後1年までにどのようなスキルを身に付けてほしいのか
- 現チームが困っている助けてほしい業務内容
- チームメンバーに還元できるあなたの強み
ミッションレターをお送りするようになって、内定承諾率が劇的に向上しましたし、結果として選考に妥協することがなくなり「少しでも迷ったらNO!」という新たなキーワードを生み出す結果にもなりました。
実際入社してくれた今の同僚にも好評でミッションレターが採用の決め手になったと言ってくれる人も多いです。
もちろん、入社してもらったらOKではなく、そのミッションレターの内容に即してメンバーに成長してもらえるようにするのが一番むずかしいです。開発するチームメンバーの提案やタスクの調整時に見返すことはありますが、継続してレターの内容通り、もしくはそれに即した成長環境の提供に関してはまだまだ改善の余地があります。
実際どうなの?
今年のアドベントカレンダーでもチームの雰囲気を共有したいと思って記事を書いてくれるメンバーがいるくらいにチームの雰囲気がいいと思います。
職務経歴が豊かになっていると思ってくれているかどうかについてですが、意見を聞いたメンバーからは
- 様々なバックグラウンドがある人が多く、それを共有してくれるので学びが多い
- マネージャーがキャリアについて考えてくれて、必要な仕事の提案をしてくれるので自分では気づかない方向性に気づける
- 偉ぶったり、いじめてくるような人やブリリアントジャークがいないので精神的に消耗しない
といったポジティブな意見が聞かれます。ただ、
- 自分のやりたいチャレンジが事業の成長につながるのかわからない
- 業務に必要なことはやるが、特にやりたい明確な目標がないのでそれでいいのか不安
などの意見も聞かれました。これらの点に関してはメンバーとのコミュニケーション面と組織としての戦略の共有などをもって改善して行きたいと思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか?今回は採用に関する1つのキーワードについて紹介しました。 「情熱プログラマー」にも師匠を探すこと、師匠になるということが書かれていますし、優秀な同僚と働くことが最大の福利厚生であるという意見も見かける様になりました。 我々も全員が全員の師匠であり、弟子であり、福利厚生になれるようなチームを目指していきたいと思います。
もし、このような働き方に興味がある方はぜひ採用ページからご応募お願いいたします。